職員募集・実習について

小梅保育園が大切にしていること

2002年4月、定員30名、児童9名でスタートした小梅保育園。自身のお子さんの保育園入園が上手くいかず、「大人の都合で振り回される子どもを増やしたくない」という思いから西村園長が設立し、2015年からは認可保育所として新たな道を歩んでいます。

今回は、西村園長と台 副園長へのインタビューを実施。小梅保育園が大切にしていること、保育への熱い思いを語っていただきました。

西村園長(左)と台副園長(右)

保護者の方と小梅保育園の
「共育て」とは

区内でも入園を希望される方が多い小梅保育園ですが、子どもたちや保護者にとって、どんな場でありたいとお考えですか?

西村園長

始めたばかりの頃は、とにかく、お子さんを安全にお預かりできる施設にしなければと思っていました。「子どもたちも保護者の方もほっとできる園」という基本的な考えは今も変わりませんが、今は、「子育ての大切な部分を保護者の方とともに担い、子どもたちの成長を応援する園」でありたいと思っています。

台 副園長

子どもたちの成長を一緒に応援したいという想いで行う活動を、わたし達は「共育て」と呼んでいます。一年に一度、保護者の方と小梅保育園で共通目標を立てるのですが、これも「共育て」のひとつです。「○○ができるようになってほしい」「やさしい子になってほしい」といった目標を立て、3ヶ月後、半年後、一年後と振り返ります。どんな部分に成長が見られて、どんなところをプラスしたら目標達成に近づくのかを言葉にし、1枚の紙に記します。

西村園長

もし、0歳からお預かりしていると、卒園までに6枚の紙が重なります。それはただの紙ではなく、目標に向かって「共育て」してきた結果の重なり。それをわたしたちは「保護者の方の卒園証書」と呼んでいます。子どもたちの頑張りはもちろん、保護者の方にとっても子育てを頑張ってきた証で、お渡しするときはお互いじんとしますね。

台 副園長

「共育て」を通して、保護者の方とじっくりお話しする機会が増えました。コミュニケーションが密になるほど、子ども一人ひとりによりそった支援ができる。保護者の方も多忙な中ご協力くださってありがたいです。

「いっしょうけんめい みんなで」保育方針に込められた想い

保育方針「いっしょうけんめい みんなで」は、いつ頃定まってきたのでしょうか。

西村園長

創立当時から今まで続いている方針ですね。「いっしょうけんめい」という言葉には、自らひたむきに、物事に向き合ってほしいという想いを込めています。

わたしたち大人の経験や知識を伝えても、子どもたちが大人になる頃には役に立たない可能性も高い。だからこそ、自分で課題を発見し、向き合い、解決に向けて動ける力、一言にすると「生きる力」を身につけられるよう支援したい、そんな想いがあります。

台 副園長

「みんなで」の後には「あそぶ・かんがえる・まなぶ・たべる・ねる」という言葉が続きます。子どもにとっての生活すべてにおいて「みんなで」いっしょうけんめい取り組むことで、社会性や協調性を自然と身につけられると考えています。これも、古びない「生き抜く力」ですよね。

西村園長

「いっしょうけんめい みんなで」は、当園の先生たちの目標でもあります。チームワークを大切に、子どもたちが伸びる環境を整えよう、子どもたちの幸せを考えようと思っている先生ばかりですが、より高いレベルを目指してもらえたらうれしいです。

台 副園長

先生一人ひとりが、みんなで頑張れば「いっしょうけんめい」の結果も増幅することを感じています。
毎年、運動会の後にアンケートを実施しています。「このプログラムがよかった」とか「来年はこんなことをしてほしい」といったご意見の中に「先生方のテキパキした進行、キビキビした動きに感動した」という言葉がチラホラ。黒子役に徹していたつもりですが、一生懸命は伝わるんだなぁと思いました(笑)。

西村園長

先生たち、前日に進行リハーサルしてたもんね。私は、当日も疲れるし、無理しないでと言ったのに「やります!」って(笑)。

台 副園長

子どもたちが全力を出せるように、保護者も全力でその時間を楽しめるように、そう思うと、出来ることはしておこうとなったんです(笑)。練習してよかったです。

西村園長

こうやって、先生たちが自然と子どもたちのお手本になってくれているのはありがたいですね。

小梅保育園が「支援計画」
という名称にこだわるわけ

小梅保育園では年間・月間の「指導計画」を「支援計画」と呼んでいると伺いました。

台 副園長

おっしゃるとおりです。わたしたちは、子どもの持つ力そのものを信じています。指導という言葉には「子どもよりすぐれた先生や大人が教え導く」という印象がありますよね。私は毎日、子どもたちから学ぶことばかり。敵わないなと思うこともたくさんあって、「指導」に違和感がありました。
先生は偉くもなんともなくて「先」に「生」まれただけ。先に生まれた分、経験の引き出しが少し多いだけです。保育士にできるのは、子どもたちの力を最大限に引き出す環境をつくり、支援することだと日々感じています。

西村園長

卒園前の給食でつくったラーメンの話、あれはまさに「指導」ではなく「支援」だったと思うな。

台 副園長

ラーメン会議、しましたね(笑)。卒園間近の食育活動で「みんなでラーメンを作ろう」ということになったのです。スープをみそにするかしょうゆにするかという議論になりましたが、「味よりも、同じものをみんなで食べたい」という結論に至りました。子どもはすごいんですよ。自分たちだけで話し合って答えが出せるんです。

ただ、そこから「大嫌いなメンマを最後の最後に食べたくない」という意見が出て、折り合いがつかなかった(笑)。そこで初めて私が口を挟み「先生は、昨日ラーメン屋さんに行ったんだけど、そこには『トッピング』という仕組みがあってね……」と話しました。

西村園長

私が褒めると手前味噌ですが、うちの先生がすごいなと思うのは、「ラーメン屋さんにはトッピングという仕組みがあるよ」という事実だけを話していること。「そんなことで喧嘩しない!」と叱ったり、「メンマは別に分けておくから、食べたい人だけ取りなさい」と指示はせず、最終判断は子どもたちにゆだねる。大人にできることは「支援」だと意識している当園らしい一幕だったなと今でも思います。

生きる力を育む「自由あそび」と「外あそび」の機会を前向きに探る

子どもたちが「生きる力」を身につけるために、力を入れていることはありますか?

台 副園長

小梅保育園では「自由あそび」と「外あそび」を大切にしています。子どもにとっての「あそび」は、物事に興味をもつきっかけであり、自分で目標を設定し、それを克服しようとする行為そのもの。生きる力の基礎になります。「自由あそび」では、子どもたち自身が好きな場所で、どんなあそびができるか自由に発想し、そのあそびに没頭できる環境を整えています。

その「あそび」に階段の上り下りが含まれていても、全員に「危ないからダメ」と禁止はしません。子どもの発達段階に照らし合わせ、安全だと保育士が判断すれば、約束事を先生も含めたみんなで決めてOKします。子どもたちは、自分で決めたことを全うしようと、大人が想像する以上の底力を発揮しますね。

西村園長

「外あそび」は、四季を感じられる屋外で自然に触れ、命の大切さを学ぶ大切な機会。「発見力」や「観察力」を養うためにも積極的に実施しています。

しかし、2020年からの新型コロナウイルスの流行で、中止せざるをえない「あそび」やイベントも出てきました。それでも「形を変えて実現できないか」「実現するためには、何が必要か」と考え続ける一年でしたね。

台 副園長

園長とともに「子どもたちの大切な機会をできるだけ残せるように、大人が汗をかこう」という方針を掲げ、保育士も前向きに可能性を探ってきました。
たとえば、恒例だったお泊まり保育は難しい。でも、衛生面に留意した上で「夜の保育園たんけん」であればできるのではないか……。そんなことをよく話し合いましたね。

西村園長

検討もせず、すべてを中止するのはシンプルで簡単。でも、子どもたちにとっては一日一日が新たな発見に満ちた大切な日です。安全が確保されているのであれば「まず、やってみよう!」という前向きな先生が多くて心強いです。

台 副園長

保護者のみなさんも、子どもたちの毎日がどうなるのかと不安を抱えておられたと思います。ただ、「大変な時期に、先生方ができることを必死で考えて実施してくれたことがうれしい」といった言葉をかけてくださる方も多く、何が正解かはわかりませんが、子どもたちの毎日が豊かになる可能性を模索したいです。

保育士が「自分の子どもを預けたい」と思える園を目指して

小梅保育園を「こんな園にしたい」という想いについて教えてください。

台 副園長

目指す姿を一言にすると……保育士自身が「自分の子を預けたい」と思えるような園ですね。子どもがいない保育士さんにも「自分の子を預けるなら、保育士さんにどんなことをしてもらったらうれしい?」と自分に問いかけてから行動してほしいと伝えています。

西村園長

創立当時から「小梅保育園にまかせておけば安心」と保護者の方から信頼いただける園を目指してきました。今も変わりません。

台 副園長

一人ひとりを見守り、日々の変化を注意深く見つけることは大切にしていますね。毎日職員が使用する引継ぎ帳には「ちょっといい出来事」という欄を設けています。「苦手な野菜を食べられた」「お友だちに優しくできた」そういったお子さんの成長を追体験いただけるよう、こまやかな報告を心がけています。

西村園長

かけがえのないお子さんを預けてくださった保護者のみなさんに「期待される以上の答えを返そう」という心がけは、先生たちとも共有できている気がします。

あるとき、お子さんが転んで頭を打ってしまいました。幸いにも大事には至らなかったのですが、保護者に謝罪し、すぐにフロアマットを手配して床に敷き詰めました。この先の事故を防ぐという決意を行動で示したんです。

台 副園長

ご家庭との信頼関係あってこその園ですからね。こまめに連絡を取り合い、情報公開することも大切にしています。ICTも積極的に活用して保育士の負担を軽減しながら、アプリで連絡事項を伝えたり、Twitterで「今日の給食」を発信したりします。Twitterを見れば、今日どんなものを食べたかがわかって、保護者の方から好評です。

西村園長

情報公開は、自分たちが信じる保育ができているという自負がなければできません。さらに、公開すると、ある意味手を抜けなくなる。園への期待値も上がりますし(笑)。

台 副園長

園内の様子をオープンにすることに、プレッシャーを感じることはありますよ(笑)。

西村園長

先生方がプレッシャーを感じつつ継続してくれているおかげで(笑)、ありがたいことに今のような評価をいただいています。高まる期待値を常に超え続けることは大変ではありますが、これからも日々を大切に頑張っていきたいですね。

地域の子どもたちの幸せのために、まだまだできることがある

西村園長が区議会議員の職を辞して、保育業界に戻られたきっかけについてお聞かせいただけますか?

西村園長

大きな理由は、保育を取り巻く制度と現場のギャップを埋めていきたいという思いが強まったからです。小梅保育園の子どもたちはもちろん、墨田区の人間として、元区議会議員として、地域の子どもたちみんなが笑顔でいてほしい。子どもたちの幸せのために、大人たちが頑張れることがもっとあるはずだと、議員時代から感じていました。

台 副園長

園長の目標は「保育園の子ども達はもちろん、地域の子どもたちの幸せに寄与する」なので、小梅保育園だけでは実現できないこともあります。園長は、地域の方、保育業界だけでなく異業種の方、墨田区役所ともつながりが深く、いろいろなご縁を活かして課題解決しようと動かれていますよね。

西村園長

たとえば、当園では「外あそび」の一環で公園に行くのですが、事前に、公園の安全性を保育士目線でチェックします。「危ない」と感じたり、不便に感じた点があれば、区の公園を管理する部門にお伝えします。保育園は、公園のヘビーユーザー。その意見は、公園がより安全で楽しい場所に変化するためのヒントになると思うんです。
アイデア出しは小梅保育園、実際に、公園の仕様を変えられるのは区役所。お互いの強みを活かし合い、公園がより良く変われば、地域の子どもたちの幸せにもつながるはずです。

台 副園長

区内図書館への情報提供もさせていただきましたね。小梅保育園では、保護者のみなさんに『おすすめの絵本』についてのアンケートにご協力いただき、年齢別にまとめ、情報誌をつくってご家庭にお配りしています。その冊子が好評で、「これを小梅保育園だけで活用するのはもったいない!」と図書館にもお送りしました。リアルな保護者の声が詰まったものなので、図書館の選書にも活かされたらうれしいですね。

西村園長

小梅保育園の絵本は、保護者からのリアルな声を活かして購入しています。「絵本は子どもの成長にとって大事」と、口で言うのは簡単。その絵本に触れられる環境を地域ぐるみで整えたり、冊子として情報をまとめ、保護者の絵本選びのヒントとして提供するところまで動けるのが、小梅保育園の強みだと思います。

子どもたちの成長を何より喜べる人と、一緒に支援計画を考えたい

お二人が一緒に働きたいと感じるのはどんな方ですか?

台 副園長

一番は、人の感情の動きがわかって、自分自身もよく心が動く方がいいですね。子どもの心の動きも感じられますし、本気で仕事を楽しめるはずです。

西村園長

「保育とはこういうもの」という固定観念にしばられず、一緒に話し合って保育方針をつくっていける方がいいですね。保育方針には正解がない。それでも正解のない問いに飛び込んで、考えられるか。自分で考え、責任持って行動できるか。

台 副園長

そうですね。チームでの仕事になるので、話し合って学び合える方と働きたいです。今はコロナ禍で実現できていませんが、終業後に先生たちが雑談できるカフェスペースをつくりたいと話しています。保育の話をし始めると、保育士はみんな止まりません。「そんな経験をしたんだ」「そんな風に感じるんだ」と、互いに学びがあります。

西村園長

わたしたちは、この年齢だとこのくらいのことができるのではということがこまかく記載された「保育の道標」という一覧表をつくっています。もちろん、子どもたち一人ひとりの成長・発達には個人差があります。ですから「保育の道標」も到達目標ではなく、支援していく為の目安です。道標のもとは、先生たちの会議での発言や雑談。現場の発見が可視化された道標やマニュアルは、小梅保育園の宝物。先生同士でも話し合う機会は多いですね。

台 副園長

子どもたちの人生の基礎になる時代によりそえる仕事っていいな、保育士っていい仕事だなって思います。楽しいというかよろこびに近いかもしれませんね。子どもの自主性を尊重し、その成長を心からよろこべる人にとっては天職だと思います。

西村園長

子どもたちが何か感じ取って成長する姿から学ぶことは多いよね。さらに、一人ひとりをしっかり見守ることで、「支援計画」もより現状に即した形に変えていける。

計画を守って進むのはある意味とても楽なんです。評価もしやすいし、地道に目標に向かっていけばいい。でもそれを続けると「計画通り進むこと」が目的になって、大切なものを見逃してしまう。チームみんなで雑談して、気づくことがあれば臨機応変に計画も変えるのが、小梅保育園らしさかなと思います。

子どもたちの表情、園内の空気感をぜひ一度感じてほしい

では最後に、小梅保育園に関心を寄せてくださる方に一番伝えたいことをお聞かせください。

西村園長

このようなご時世ですが、「ぜひ一度、園を見にいらしてください」。ですね。園内の空気感をじかに感じていただきたいですし、わたしたちから、園の想いや考えについてお話をしたい、そして、保護者のみなさんのお話をじっくり伺いたい。そう思っています。

台 副園長

子どもたちのイキイキとした表情を、ぜひご覧いただきたいですね。その表情が、わたしが目指す保育が実現できている証のような気がします。

私が担任をもっている時の話です。ある保護者からうれしいお話を聞きました。お子さんが「明日は保育園であれもしなきゃ、これもしなきゃ! あぁ忙しい!!」とお母さんにアピールしていたそうなのですが、その顔が充実感に満ちていてうらやましかったと(笑)。明日の保育園がどれほど楽しみかが、その表情から伝わってきたそうです。

西村園長

子どもたちの表情が、わたしたちの保育に対する答えそのものかもしれませんね。保育園で過ごす時間を心待ちにしてほしい。その一心で、先生たちはよく話し合って、実際に行動してくれています。
保育に正解はありませんが、これからも子どもの力を信じ、生きる力を育むための支援をしていきたいです。

いっしょうけんめいみんなで
子どもたちには、 力があります。

あそぶ・かんがえる・まなぶ・たべる・ねる。
生活のすべてにひたむきに、
みんなで取り組むことで、
子どもたちは「生きる力」を
自ら育てていきます。

だから、わたしたちは「指導」をしません。
保護者のかたとともに、子どもたちの
「今、このとき」によりそった「支援」をし、
げんきなこころとげんきなからだを育みます。

ぜひ一度、園を見にいらしてください
03-3829-3663

受付時間:月~土 9:00~17:00

子どもたちの表情、園内の空気感を
ぜひ一度感じてみてください

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